研修効果を高める5つの基本方針


Ⅱ 実践的な内容であることを大切にします。


受講者の行動変革を促すには、実践への意欲と自信を高める必要があります。そのためには、”実践の有効性をイメージできる” ”実践できるとの認識を持てる” ことが大切になります。その前提として求められるのが、実践的な内容であることです。

 

内容の理解を行動に結びつける演習は、全て実践的です。

指導力の強化を図る演習中堅社員研修より)

理解したセオリーに基づき、指導のロールプレイングを行います。

演習(指示書の記載ミス)一部のみ掲載 ※こちらの無断使用はお断りいたします。

~前半省略

ある日、業務部から回ってきた指示書を見て、佐藤君は「おっ」と声を上げた。同僚が「どうした何かあったの」と聞くと、「今日の製造数は8個だって。ゆっくり仕事できるよ」と答えた。同僚は「そんなに少ないのって、変じゃないかな」と伝えたが、佐藤君は「僕の仕事は、指示書に基づき、指示書どおりに作業すること」と同僚の顔を見ながら、諭すように言った。

 

翌日、指示書の製造数の記載ミスが発覚した。佐藤君は係長に呼ばれた。

 係長

 佐藤

 

この指示書の8個という数値を見て、おかしいとは思わなかったのかい?

私の仕事は、指示書に基づき作業することです。数値がおかしいとか、特に考えません。間違ったのは業務部で、私は指示通りにやりました。私に何の問題があるのですか?

すると係長は、顔を紅潮させ「何を無責任なことを言っているんだ!」と大きな声で怒鳴った。

その様子を見ていた佐藤君の先輩である山田さんが、止めに入った。そして、「係長、私から少し話をさせていただけませんか」とお願いした。

~以下省略

 

【設問】佐藤君の育成ニーズ(育成課題)をまとめたうえで、面談を行い指導してください。

説明力の強化を図る演習若手社員研修より)

報告内容をわかりやすくまとめる演習です。現実的なケースに基づき、短時間でまとめます。

演習(課長への報告)一部のみ掲載 ※こちらの無断使用はお断りいたします。

総務課のあなたは(田中さん)は、上司である佐藤総務課長からの指示で、明日の課長会議の準備を進めていた。すると、営業課の水谷課長から内線電話が入った。

 水谷

 田中

 水谷

 

 田中

 水谷

佐藤課長はいる?

すみません。外出しており、夕方に戻る予定です

そうか・・・。実は急に常務から、明日、取引先A社に同行するよう指示を受けてね。場所が室蘭で、会議の時間までに戻れない。だから、明日は欠席になる

そうですか・・・、それでは仕方ないですね。佐藤課長には私から伝えておきます

じゃあ、よろしく。ちゃんと事情も伝えておいてね

 

引き続き準備を進めていると、山田総務部長が駆け寄ってきた。

 山田

 田中

会議資料だけど、まとめっている?

はい、まとまってます

~中略
 山田 「佐藤課長に報告する際に、今の事情も説明しておいてくれ」

 

【設問】佐藤課長が戻ってきました。一連の報告をしてください(2分間でまとめてください)。

育成ニーズやご要望に応じて、より実践に合うようカスタマイズします。

電話応対の実践力強化を図る演習企業研修・新入社員マナー実践力強化研修より)

実践の業務を踏まえた ”状況設定シート” に基づき、電話応対のロールプレイングを行います。注文の受付応対に加え、”内容が聞き取れない” ”伝言を受ける” など様々なケースを実施し、実践力を強化します。

演習(電話応対ロールプレイング)一部のみ掲載 ※こちらの無断使用はお断りいたします。

   状況設定シート(自身の職場状況や仕事内容)一部伏字(〇〇や✖✖)で表記します。  
 

 ◆部署 〇〇課

 ◆上司 田中部長、木田課長  ◆先輩 佐野さん  ◆現在の日時 15日 13:30

 ◆自分の担当業務

  〇〇商品と✖✖商品の注文を受け付ける。受付けの際、注文数、納品場所、希望納期を確認する。

  ・先方の住所や連絡先は登録されているので、詳細の確認は不要とする。

  ・折返し連絡する場合のみ、電話番号を確認する。

 ◆田中部長は、社内打合せ中(会議室へは出入り可能)。15:00に席に戻る予定。

 ◆木田課長は、外出中で17:00に戻る予定。携帯電話は持っている(電話連絡可能)。

 ◆佐野さんは休暇。明日は出社の予定。

 
       

理解するセオリーも、実践を前提とした内容です。

たとえば、中堅社員研修には、生産性向上に向けた ”業務改善” や ”後輩指導” が含まれています。それぞれセオリーを理解したうえで実践力強化を図ります。ただ、実際の行動に結びつけるには、それだけでは理解すべきセオリーが不足しています。

行動に結びつけていくには、日々の仕事の優先順位の付け方を変える必要があります。

実践に必要なセオリーを洗い出し、講義や演習に組込みます。

研修効果を高める5つの基本方針