研修効果を高める5つの基本方針
Ⅰ 問題意識の醸成を図り、実践意欲と啓発意識を高めること
を大切にします。
問題とは、あるべき姿と現状のギャップです。問題意識とは、ギャップ解消に向けて主体的に関わろうとする意識です。
問題意識の醸成が、実践意欲と啓発意識を高めます。
テーマや研修時間に応じた ”問題意識を醸成する仕組み・仕掛け” があります。
たとえばケーススタディの活用です。
ケーススタディによる検討を通じ、客観的にあるべき姿を描きます。自身で描いたあるべき姿と自身の現状を比較することで、問題意識が醸成されます。
マネジメントに対する問題意識の醸成を図るケーススタディ(管理者研修より) ”ケースに登場する管理者の評価” や ”評価結果に基づく自身の振り返り” 等について実施します。 |
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演習(佐藤グループリーダーの仕事ぶり)一部のみ掲載 ※こちらの無断使用はお断りいたします。 10ヵ月前、佐藤は機構改革(課・係制を廃止し、グループ制を導入)に伴い発足した ”特殊輸送部・建設資材輸送グループ” のGL(グループリーダー)になった。 ~中略 佐藤は建設資材輸送事業の立ち上げからいる生え抜きで、知識面・技能面は高いレベルにあり、建設資材輸送係の中核的存在であった。 ~中略 佐藤はGLになってから時間に追われるようになった。在庫確認や荷物の積み込みの立ち合いなどは部下に任せることにしたものの、高い知識や技能が要求される据え付け・施工の監督は、これまでどおり担当している。そこに業務連絡、書類のチェック、仕事の割当表作成、職場改善計画の策定など、前任の課長から引き継いだGLとしての仕事が加わった。書類のチェックや割当表作成は1日の業務が終わった後に、残業で対応している状況だった。職場改善計画の策定については手付かずの状態が続いている。 ~中略 仕事には高い知識や技能を要するものが多く、仕事の負担は佐藤を含めた一部のベテランに偏る傾向にあった。上司である特殊輸送部の部長から「佐藤GLの負担が大きいようだから、部下にもう少し仕事を振ったらどうかね」と言われたこともあった。それに対して佐藤は「大丈夫です。対応できます。それに、自分でやった方が、結果的に楽ですし・・・」と答えていた。 タイトな状況ではあるが、佐藤と一部のベテランの頑張りで、今のところ納期の遅れなどは発生していない。 【設問】佐藤GLの仕事ぶりを評価してください。
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演習の流れ ②管理者になっても行動が変わらない原因を検討する。 ③自身の行動を振り返る。 このプロセスが問題意識を高めます。 |
ケーススタディ以外にも、効果的な仕組み・仕掛けがあります。
たとえば、研修の冒頭で設問等に基づき自身の行動を振り返り、研修の最後に自身の行動の改善点を検討する方法です。
部下(後輩)対応に関する問題意識の醸成を図る仕組み(ティーチング・コーチング研修より) ①研修の冒頭で、以下の問いかけに基づき、部下(後輩)対応に関する自己評価をします。 ②研修を通じて、それぞれの問いかけの重要性を確認します。 ③最後に自己評価と研修内容を踏まえ、自身の改善点をまとめます。それをグループ内で共有します。 |
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演習(部下対応に関する自己評価)一部のみ掲載 ※こちらの無断使用はお断りいたします。 |
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問いかけ(一部のみ掲載) | 回 答 | ||
部下(後輩)から反論された場合、まずは部下の意見を、しっかりと聴くようにしている。 |
全くできてない しっかりできている +-----+-----+-----+ |
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部下と話をする際は、部下が話しやすい態度で聴くよう心がけている。 |
全くできてない しっかりできている +-----+-----+-----+ |
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部下に対し、実務に関わる知識・技能以外(仕事の姿勢、自己啓発の姿勢、マナー・対人関係、問題解決、コミュニケーションなど)で、問題や物足りなさを感じることがある。 |
全くない よくある +-----+-----+-----+ |
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実務に関わる知識・技能以外の指導は、ほとんど行っていない。 |
全く行っていない しっかり行っている +-----+-----+-----+ |
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指導しても、「相手が理解・納得したか」が、さっぱりわからないことがある。 |
よくある 全くない +-----+-----+-----+ |
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⇩ 最後に、研修内容を踏まえて自身の改善点をまとめます。 | |||
自身の現状(上記の自己評価)と研修内容を踏まえ、自身の部下対応に関わる改善点をまとめてください。
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問題意識の醸成は、全てのテーマにおいて重要になります。
受講者の問題意識を醸成することで、研修効果が高まります。この基本を疎かにせずに、しっかりと研修に組み込みます。
研修効果を高める5つの基本方針